イラン父系氏族集団でAZF重複が高頻度、最大8.0Mbの巨大重複も。
この研究は、イランの異なる民族集団に属する87人の男性のY染色体を次世代シーケンシングで解析し、AZFb/c領域の重複を調べたものです。その結果、イランでは千人ゲノム計画のデータセットと比べて重複頻度が2倍高いことがわかりました。特に父系氏族制の集団で重複が多く見られ、男性の有効集団サイズが小さいために負の選択が働きにくい可能性が示唆されています。また、AZFc遺伝子のコピー数を4倍にする8.0Mbの巨大重複も発見され、これはこの領域でこれまで報告された中で最大です。
解析対象はイランの異なる民族集団に属する87人の男性で、全員のY染色体ハプログループが決定されています。上位ハプログループはT-TY491558(3人)、J-TY491551(2人)、N-Y37153(2人)、J-TY491553(2人)、J-Y83029(2人)などで、J系統が複数見られます。また、Q-Y148965、E-FT186773、E-A8612が各1人ずつ確認されています。これらの父系系統は、氏族制集団におけるAZF重複の高頻度と関連している可能性があります。
父系氏族制の集団では、AZF欠失だけでなく重複も男性不妊の原因として重要である可能性があります。自分のY染色体ハプログループが氏族制集団に属する場合、AZF領域の重複にも注意が必要です。
| ハプログループ | サンプル | |
|---|---|---|
| T-TY491558 | 3 | |
| J-TY491553 | 2 | |
| J-Y83029 | 2 | |
| J-TY491551 | 2 | |
| N-Y37153 | 2 | |
| R-Y2568 | 1 | |
| N-B525 | 1 | |
| J-Y144533 | 1 | |
| J-Z41084 | 1 | |
| H-BY46699 | 1 | |
| L-Y16208 | 1 | |
| J-Y32707 | 1 |
| サンプル | Y-DNA | mtDNA | 文化 / 時期 |
|---|---|---|---|
| R083 | J-TY491551 | — | |
| R013 | R-Y65452 | — | |
| R068 | R-SK2014 | — | |
| R018 | R-FGC52936 | — | |
| R003 | J-FT249691 | — | |
| R086 | G-Z6764 | — | |
| R001 | T-Y152024 | — | |
| R002 | R-Z2110 | — | |
| R004 | Q-FT387652 | — | |
| R005 | J-Y144533 | — |